ザグリとは何?深ザグリは?キリとの違いも含めてご紹介!
ザグリは穴を開ける用語だと思われがちですが、少し違います。また、キリともよく混同されますが、指示書でキリと一緒に記入されるものであって、キリともまた別物です。
ではザグリとは一体どういった時につかわれるものなのでしょうか。
この記事では、ザグリとは何か、また、キリとの違いや深ザグリとの違いを詳しく解説します。
目次
-
ザグリとはねじやボルトの頭部が出っ張らないように開けた穴
-
ザグリとキリはセットで使われるが、その違いは?
-
ザグリ加工とは、ボルトやねじの頭部が出っ張らないようにするための穴を加工すること
-
ザグリを作るときに使う主な工具や使い方
これだけは知っておくべきザグリのポイント
-
ザグリは穴を開けたときにねじやボルトの頭部が出っ張らないように深く掘り下げた穴
-
ザグリは主に六角穴付きボルトに使われる
-
深ザグリとは、ザグリの深さが深いという意味ではなく、深さを指定する加工を深ザグリという
ザグリとはねじやボルトの頭部が出っ張らないように開けた穴
ザグリとは、穴を開けたときにねじやボルトの頭部が出っ張らないようにするための穴のこと。英語では「spot facing」や「counterboring」と言います。ザグリを設けるとねじ頭部はすっぽりと隠れ、何かに当たったり引っかかったりしてねじが緩むのを防ぐことができます。
なお、ボルトの頭部が沈む部分のことをザグリといい、穴を開けること自体を指す用語ではないのでご注意ください。
ザグリとキリはセットで使われるが、その違いは?
ザグリとキリは、図面上で穴についてのサイズを指定するのに使われる用語ですが、この二つには明確な違いがあります。ではその違いを詳しく解説していきましょう。
キリとは使うドリルの直径を指す
キリとは、穴を開ける際に使うドリルの直径のことを指します。例えば「8キリ」と図面に指示があった場合、「8ミリ直径のドリルで穴を開けてください」ということです。
ただここで注意したいのは、「8キリ」という指示を受けて開けた穴の実際の直径は、8ミリを超えるということ。大体0.1ミリ前後大きい穴になるということを覚えておきましょう。
キリ以外にザグリの指定があるときは
そして「8キリ、13ザグリ」とあった場合は、「8ミリ直径のドリルで穴を開け、直径13ミリのザグリを作ってください」ということになります。ねじ頭部が出っ張っていても問題ない場合はあえてザグリを設ける必要はありませんが、家具などではほとんどの場合ザグリを設け、ねじ頭部は隠してしまうのが一般的です。
ザグリ加工とは、ボルトやねじの頭部が出っ張らないようにするための穴を加工すること
前述の通り、ザグリ加工とは、ボルトやねじを締めた時に頭部が座面から出っ張らないようにするため、ザグリを設ける加工のことを言います。
座面の内側にボルトの頭部が入るように加工することで、横から見たときに平らな仕上がりとなります。
前述した通り、ザグリ加工が必要な際は、キリの他にザグリの直径サイズも指定しておく必要があります。
ただし、ボルトには標準サイズというものがあり、例えば「M8ボルト ザグリ」と書いておけば、加工屋さんは「9キリ14深ザグリ8ミリ」という穴を開けてくれます。
これは、M8というボルトのサイズが、頭部の直径は13ミリ、頭部の長さが8ミリ、ねじ部分の直径が8ミリと決まっていることによるものです。
このように、M8以外にも標準サイズのボルトがあり、特に深さに指定などがない場合は、単純に「ボルトの名前 ザグリ」と書くだけで加工屋さんが判断してくれることもあります。ただ、座金を挟むなど、少しでもサイズに違いが出てくる場合はきちんと明記することが大切です。
ザグリは主に六角穴付きボルトに使われる
ではそもそも、ザグリはどのようなボルトに使われるのでしょうか。
ザグリが用いられる主なボルトは、「六角穴付きボルト」。頭部の中央に六角形の穴が開いていて、六角レンチで締めるボルトです。ご自身で家具を組み立てたことがある方ならすぐに思いつきますね。
ほとんどの六角穴付きボルトは頭部の長さが長く、ザグリがないと座面からかなり出っ張ってしまいます。そうするとケガの原因になったり、ボルト頭部が引っかかってねじが緩みやすくなってしまいます。
ですので、六角穴付きボルトを使う際にはザグリを作るのが一般的です。
深ザグリとは?深いザグリという意味ではない
ザグリ加工をする際に混同しそうなのが、「深ザグリ」という言葉。単純に「深いザグリということ」と思いがちですが、そうではなくザグリの深さを指定する言葉です。例えば先述した「8キリ13ザグリ」だけだと、「8ミリ直径のドリルを使って直径13ミリのザグリ」は加工してもらえますが、この情報だけだとザグリ自体の深さは指定されていません。そこで、ザグリの深さを指定したい場合は、「8キリ13深ザグリ深さ6.5」という風に書くと、「深さ6.5ミリのザグリを作ってください」ということになります。
下の図の指示であれば、「直径9ミリのドリルで穴を開け、直径14ミリ、深さ8ミリのザグリが必要です」ということになります。
ザグリと皿ザグリの違い
ザグリは主に六角穴付きボルトに用いられると前述しましたが、皿小ねじ用に加工されることもあります。このザグリを、「皿ザグリ(皿モミ)」といいます。皿小ねじとは、下の写真のようなねじのことを指します。
このようにねじの頭部を座面から出っ張らないようにするには、特別な加工が必要になります。皿ザグリの場合は、頭部上部の直径と下部の直径の大きさが違うため、加工には通常のザグリとは違う工具が必要になります。
参考:皿穴、皿ザグリとは
ザグリを作るときに使う主な工具や使い方
ザグリをつくりには、それ専用の工具があります。
こちらのドリルは六角穴付きボルト用ザグリドリルです。この他にも、下のようなザグリカッターなどもあります。
参考:ザグリカッター
まとめ
「ザグリ」は、穴を開ける加工のことだと思われている方も多いですが、実はねじの頭部が出っ張らないように座面の内側に掘り下げた穴だということがおわかりいただけたでしょうか。
また、「深ザグリ」は深いザグリではなく、ザグリの深さを指定することだということもご紹介しました。
この記事でザグリに対して曖昧だった認識がはっきりとしたものになれば幸いです。
製作事例:キャディ株式会社はザグリ加工に対応しております。ホームページに製作事例も載せておりますのでぜひご覧ください。また、詳細、お見積りについてもお気軽にお問合せください。