バフ研磨とは?メリットやデメリットも含めて紹介
あまり聞き馴染みのないバフ研磨。実はよく目にするステンレスの鏡面のような表面はバフ研磨によって作られています。
なぜ鏡面のような表面にするために、バフ研磨が用いられるのか?などをメリットやデメリット、特徴などをふまえて紹介していきます。
目次
- バフとは、材料の表面を研磨するための道具のこと
- バフ研磨とは、材料の表面を綺麗に仕上げる加工方法
- バフ研磨は機械加工後の表面処理に適している
- バフ研磨は素材によって用途が多岐に渡る
- バフ研磨は細かい精度で加工することができ、摩擦を少なくすることができる
- バフ研磨のメリット
- バフ研磨のデメリット
- バフ研磨可能な材質
- まとめ
これだけは押さえておきたいバフ研磨のポイント
- バフ研磨とは表面を鏡面のように仕上げることができる
- バリや汚れを除去するために施される
- 表面処理のなかでも最終工程
バフとは
バフ研磨のバフとは、ステンレスを研磨する時に使う研磨道具のことです。バフは綿やフェルト、ウール、スポンジでつくられており、そのバフを回転させステンレスに当てることで表面を削り、表面を削っていきます。バフは英語の「buff(=磨いて輝かせる)」からきています。
光沢
普段私たちが見ているステンレスの表面は、ステンレス自体の表面だと思いがちですが、バフ研磨によって作られている光沢なのです。どれくらい細かく磨きたいのかによってバフの目の粗さを変えていきます。
基本的には数字の小さい番数が目が粗く、数字の大きい番数になっていくにしたがって目が細かくなっていきます。
そのため目が粗い番数のバフから徐々に目の細かいバフに切り替えながら研磨を行なっていくことによって、表面の凸凹をなくしていき光沢を出していきます。
バフ研磨とは
バフ研磨とは、ステンレス表面の仕上げを行うために用いられる表面処理方法です。
金属研磨を行う工程は大きく分けて 4 つあり、それぞれ粗削り、中間仕上げ、仕上げ、バフ研磨です。バフ研磨は最終工程にあたり鏡面仕上げを行うための工程です。
ただ、バフ研磨は表面を鏡面のように綺麗にするだけではなく、材料の材質や目的によってさまざまな用途があります。
用途に応じてバフの種類を使い分ける必要があるので、バフ研磨の用途や種類を紹介していきます。
バフ研磨の必要性と用途
製品の表面を加工するにあたって、なぜバフ研磨を選択するのか?ということを考えなければいけません。そこでバフ研磨の必要性やバフ研磨はどのような用途で選ばれるのか等を理解する必要があります。
なのでバフ研磨の必要性や用途を紹介していきます。
バフ研磨の必要性
工業製品のほとんどは工場で生産されるときに、旋盤やマシニングを使って加工されます。
バリ(旋盤加工によって表面や材料角に残ってしまう傷)という加工痕が発生してしまうので、そのままでは表面が粗くなってしまいますし、それだけではなく、表面に切粉(加工物を削り取ったときにでる削りカス)や機械油などの汚れが表面に付着してしまい、製品として出荷できないので表面処理を施す必要が出てきます。
バフ研磨は、表面の凹凸を小さくしたり、汚れを落としたりすることができるので、表面処理のなかでも最終工程に適している処理方法です。
バフ研磨の用途
バフ研磨の用途は大きく分けて2つあります。
1つは表面をきれいにすることです。工場で生産された表面の粗い製品を出荷できる状態にするため、表面を綺麗に研磨していきます。そうすることによって見た目としてもよくなり、求められる精度としても良いものになります。
2つ目は加工後を除去することです。旋盤などで加工すると、どうしても表面に機械油や切粉(加工物を削ったときにでる削りかす)などが表面に残ります。その状態では出荷することは出来ないので、バフ研磨によって出荷できる状態に表面処理を施していきます。
バフ研磨の種類
バフ研磨の種類は、1種類だけというわけではなく、研磨剤や潤滑剤は固形から液体までの多岐にわたります。
バフの素材は、布のものやウール、麻、スポンジなどの様々な種類があります。ウールは最後の微調整につかわれ、スポンジは仕上げなどに使われます。
バフ研磨を使用する上で、その用途やバフ研磨する材料の材質によって、バフ研磨の種類を使い分けなければいけません。
また、バフのという道具の目の粗さによっても変わります。研磨の流れとしては、目の粗いものから目の細かいものに変えていくことで鏡面のような綺麗な表面に仕上げることができるのです。
バフ研磨の効果
バフ研磨は様々な効果があります。バフ研磨を施すことによって得られる効果は、バフ研磨を行う理由にもなります。表面を鏡面のようにするだけではなく、他にもたくさんの効果が得られます。
なのでバフ研磨の効果について理解することは、とても重要なので紹介していきます。
摩擦性
バフ研磨を行うことにより、製品の摩擦を少なくすることができます。摩擦が少ないということは、製品表面をよりなめらかに仕上げることができるんです。
なめらかな表面になるということは、バリや切粉がしっかり除去されている状態なので、仕上げの最終工程に向いています。
乱反射を抑える
バフ研磨は表面が鏡面のように仕上げられるので、乱反射を抑えることもできます。表面をなめらかに仕上げることのできない表面処理方法だと、表面が乱反射してしまいます。
製品の精度
バフ研磨の細かな作業によって、製品の凹凸をより少なくすることができるので、製品の求められる精度もより正確なものになります。
正確な精度に仕上げることができるので、仕上げの最終工程に行われるのです。
バフ研磨のメリット
バフ研磨のメリットはバフ研磨の効果にもありますが製品の精度を高め、鏡面のような表面にすることができます。切粉(加工物を削ったときにでる削りカス)やバリが製品に付着したままだと、決して良い製品とはいえません。
バフ研磨は鏡面仕上げが可能なので、最終工程に施されることが多いです。迅速で容易に加工できるのもメリットの1つです。迅速に加工できる理由としては、バフ研磨はモーターによってバフを回転させるからです。ヤスリやサンドペーパーを使って手作業で磨くよりも迅速に、かつ細かく研磨することが可能なのです。
バフ研磨のデメリット
バフ研磨にはもちろんデメリットもあります。バフ研磨を施す上で、しっかり考える必要があるので紹介します。
バフ研磨は表面がツルツルになるわけではありません。鏡面のような表面になるのでツルツルになっているように見えますが、バフを当てているため細かい傷がついています。
また研磨剤を使用して研磨するので、細かい傷に油が付着してしまい、やればやるほど表面を汚してしまうのもデメリットの1つです。研磨後に洗浄は行われますが、完全には除去しきるわけではありません。
バフ研磨可能な材質
金属系なら多種に渡って研磨可能ですが、バフ研磨がおこなわれる代表的な材質はステンレス、チタン、アルミなどが挙げられます。
金属だけではなく樹脂系ならアクリル、ABS 樹脂、セルロイド、エボナイトなどがあります。
バフ研磨可能な材質は多岐に渡ります。
まとめ
バフ研磨について紹介していきました。
多くの方法がある表面加工処理のなかでも、最終工程に適しているバフ研磨。
光沢をだすだけではなく、摩擦を少なくして表面をなめらかに仕上げることができたり、乱反射を抑えることもできます。
メリットだけではなくデメリットで挙げましたが、完全にツルツルになるわけではなく、研磨する上で削れば削るほど小傷が増えるということも施工する上では考慮しなければいけません。
下記の表面処理の製作実例をみることで実際の製作イメージが湧くと思いますので、ぜひ一度見てください。