マシニングセンタの基礎知識
目次
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マニシングではない!マシニングセンタとは
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マシニングセンタの構造はATCが特徴
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3軸・4軸・5軸とあるマシニングセンタの種類
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似ているようで違うNCフライスとマシニングセンタの比較
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マシニングセンタを使用する際のメリット・デメリットとは
マシニングセンタとは
マシニングセンタは「マシニング」と省略されて言われることもあるフライス加工機の一つです。上下・左右・前後の3軸で加工が可能であるのが通常のもので、これに回転軸の2軸を加えた5軸加工機もあります。主に工作物を
・切削加工する
・穴を中ぐり加工する
・ねじ加工する
場合に使用されます。
マシニングセンタの構造はATCが特徴
ベッド
工作物・加工機を支える部分をベッドと言います。
コラム
コラムとはベッドの上にある柱の部分を指し、横型マシニングセンタにおいてはここが上下することによってY軸の動きを可能にしています。
主軸部
主軸部に工具を付け、この部分が回転しながら加工します。
またマシニングセンタの特徴であるATC(Automatic Tool Changer)と呼ばれる、自動で工具を交換する機能がついています。そのため複数の工具がついている状態で用いられることが多いです。
3軸・4軸・5軸とあるマシニングセンタの種類
マシニングセンタは主に3つの種類に分けられます。以下それぞれを順番にご紹介いたします。
立型マシニングセンタ
立型マシニングセンタは工具が垂直方向に取り付けられているマシニングセンタです。主に「X軸」「Y軸」「Z軸」の3軸で動かされます。
※正面から見て、X軸が左右の方向に、Y軸が上下方向に、Z軸が前後方向に工具を動かします。
サイズがコンパクトであるため、比較的小さめの工作物を製作するのに適しています。また、使い勝手が良いため市場でも多く出回っています。
しかし欠点もあります。
1つはコンパクトがゆえに大ものの加工には適していないこと。
もう1つは工作物の上部から加工を行うため、切りくずのはけが悪いことです。
そのため、圧縮空気の吹きつけや潤滑油剤を用いて切りくずをはける必要があります。そのため、立型マシニングセンタは大量生産よりは多品種小ロット生産の場合に多く使われます。
横型マシニングセンタ
横型マシニングセンタは工具が水平に取り付けられているマシニングセンタです。上下・左右・前後の3軸に加え、テーブルが回転するB軸のついた4軸のものが主流です。
立型とは違い、工作物を横から加工することで切りくずのはけが良い。また4軸であれば4面を一気に加工可能なため、手作業での面替えが不要です。そのため、高精度での大量生産が可能になります。
しかし加工機自体は大きく、また立型よりも比較的プログラムを組むのが難しいといわれています。
5軸マシニングセンタ
5軸マシニングセンタは先ほどご紹介した4軸に加え、A軸というテーブルが垂直方向に動く軸を加えたものです。回転ずしのように横に回転するB軸と違い、水車のように縦に回るのがA軸となります。
加工面が複数ある場合、3軸のマシニングセンタであっても面の替えが必要なことがありますが、5軸の場合は一度に固定している面以外の5面を取り換え作業無しで加工することが可能になります。
しかしこちらも大きいため、精度は少し落ちるといわれています。
似ているようで違うNCフライスとマシニングセンタの比較
まずマシニングセンタとNCフライス盤が同じポイントから触れていきましょう。まず同じ点は、
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フライス加工の機械である(工具が動き、工作物は固定されている)
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プログラムによって動く
の主に2つです。しかし異なるのは、
マシニングセンタ:ATC(自動工具交換装置)がついている
NCフライス盤:ATCがついていない
という点です。そのため機械の値段も [ NCフライス盤< マシニングセンタ ] となります。もし作りたいものが工具の交換がいらないシンプルな形状のものであれば、NCフライス盤、逆に工具交換が必要となる複雑な形状であればマシニングセンタが適していると言えるでしょう。
マシニングセンタを使用する際のメリット・デメリットとは
まず、マシニングセンタのメリット・デメリットは主にNC工作機械のものと同じです。
メリット
- 品質が担保される
自動制御による加工になるため、手作業のものよりもより均一の品質で作り続けることができます。また熟練工の監督下でなくても高い品質のものが製作可能です。
- 量産に適している
一度プログラムを組んでしまえば、ずっと同じものを作り続けることができます。また作業者が監督のみでよくなるため、人件費の削減も可能になります。
またマシニングセンタ特有のメリットとデメリットがあります。
メリットは、工具を自動交換できるため、違う機械への運搬や、他の工具への交換が不要になり、作業時間の短縮を実現できること。
デメリットは、導入コストが高いこと
が挙げられます。
これはNC工作機械全般に通じるものですが、コストとして機械のコスト+ソフトウェアの開発コストがかかります。
また通常であれば機械を操作する技術が必要でしたが、マシニングセンタ(NC工作機械)の場合プログラミングのスキルも必要となるため、コストが高くなってしまうのです。