成形加工(タレパン成形)について詳しく解説!
目次
- 板金の成形加工とは
- 成形加工の種類
板金の成形加工とは
板金の成形加工とは、プレスなどを用いて任意の形状に成形する加工法です。プレスは基本的にタレパンを用いて加工することが多く、タレパン成形加工と称される場合もあります。
各種タレパン成形加工について、詳しく見ていきたいと思います。
成形加工の種類
主な成形加工として、以下のものが挙げられます。
・タップ加工
・バーリング加工
・皿モミ加工
・ザグリ加工
・エンボス
・ダボ出し
・ルーバー加工
・パンチング
タップ加工
タップ加工は、タップ穴を成形する加工法です。タップ穴とはねじ穴のことで、穴の内部にらせん状に溝があることが特徴的です。
タップにはM〇という規格があり、〇に入る数字によって寸法が決まっています。例えば、M6だったら、ねじの外径が6mm,内径が5.2mm,ピッチが0.75mmなどとなります。
ねじは基本的に板金の締結に使用されます。そのため、タップ穴の品質は非常に大切であり、ねじ部分の品質を高く保つためには精度の良いタップ加工をする必要があります。
バーリング加工
バーリング加工は、板金の穴部分の縁が板金に対し垂直に盛り上がるように成形する加工法です。バーリング加工の主な用途は、タップ穴の高さを高くすることによって、充分な締結力でねじ止めするということです。
前述したように、タップ加工では用いられるねじの径に対して必要なピッチ部分の寸法が決まってきます。そのため、材料となる板金そのものの板厚では寸法が足りない場合があります。バーリング加工によって、板厚寸法よりも大きな寸法の高さを持つ下穴を成形した後、タップ加工を行います。
バーリング加工の主な用途として、上記のようにタップ加工と組み合わせて用いるため、バーリングタップとも呼ばれます。
バーリング加工のその他の用途としては、パイプ製品の分岐点の接合に用いるものがあります。本来であればパイプに穴をあけ、穴の縁部分と新たなパイプとを隅肉溶接しますが、バーリング加工によって分岐点を出っ張らせることによって突合せ溶接をすることが可能になります。隅肉溶接から突合せ溶接になることによって、溶接部分の品質・強度が向上します。
ザグリ加工(座ぐり加工)
ザグリ加工(座ぐり加工)とは、板金に穴をあける際ボルトの頭の形に成形する加工法です。ボルトの頭部分が、板金表面から出っ張ることを防ぐための加工法です。
皿モミ加工
皿モミ加工は、ねじの頭が飛び出してしまうことを防ぐための加工法です。加工の原理や用途はザグリ加工とよく似た加工法ですが、成形される形状が異なります。
皿モミ加工はねじの形に合わせ斜め形状をしているのに対し、ザグリ加工は板金に対して垂直な穴が成形されます。
エンボス加工
エンボス加工は、プレスによって板金から凸状形状に成形する加工法です。エンボスの用途は、製品の装飾から様々な性質の付与まで、多岐にわたります。
エンボスによって板金にもたらされる効果は、摩擦力、強度、放熱性や遮音性の向上などが挙げられます。そのため、エンボス加工は食品機械から放熱板、音響機器など多岐にわたる産業で用いられています。
ダボ出し
ダボ出し加工は、スポット溶接など板金を接合する際の位置決めのために用いられる成形加工です。接合する板金のうち片方の板金に凸形状を形成し、もう片方の板金に穴をあけることによって位置決めをします。ダボ出し加工を用いれば、けがきをする必要や冶具を用いたりする必要がなくなるため、溶接のやりやすさが向上します。
ダボ出しで成形されるダボには、丸い形状のものや四角い形状のものなどがあります。ダボの形状に合わせて金型を使い分け、成形することになります。
ルーバー加工
ルーバー加工は、主に製品のカバーなどに用いられることが多い成形加工です。通気性が良いような形で成形されていて、基本的には製品内部の熱を逃がすことを目的としています。
主に鉄やステンレス、アルミ製品に用いられることが多い加工法で、ルーバーの形状に合わせて金型を使い分けることになります。
パンチングプレス
パンチングプレスは、板金をプレスで打ち抜いて孔をあける加工法です。パンチングプレスによって成形された板金をパンチングメタルと言います。
パンチングプレスは、もちいる金型によって形状が異なり、用途に応じて適切な形状を使い分けることになります。
これらがタレパン成形加工の代表例といえる加工法です。板金を様々な形状に成形することによって、各業種での用途に合わせた板金加工製品を製作することが可能になります。