押出加工とは?特徴や種類、メリットをわかりやすく解説!
押出加工は、製造分野の技術の1つです。自社で加工することで外注コストを抑えられます。とはいえ、「押出加工の種類はどんなものがあるのか」「メリットやデメリットはなにか」「自社で加工できるのか」といった疑問を持たれる方が多いのも事実です。
そこで今回の記事では、押出加工の種類や特長、メリットなどについて解説します。押出加工の理解を深め、今後の製作に活かせるような内容となっております!
目次
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押出加工とは材料に圧力をかけ押し出すことで整形していく加工方法
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押出加工は多種多様な材料に加工可能
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押出加工の種類は3種類あります
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押出加工の加工装置
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押出加工のメリット
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押出加工のデメリット
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押出加工の用途
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押出加工と引抜き加工の違い
これだけは知っておくべき押出加工のポイント!
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押出加工は材料に圧力をかけて製品を成形する加工方法
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押出加工は加工できる材料の幅が広い
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連続して製造することができる
押出加工は、圧力をかけて製品を押し出す加工
押出加工とは、型にいれた寒天を後ろから圧力をかけて押し出すことでところてんを作るときのように、圧力をかけて製品を押し出す加工方法です。金型に素材をはめて圧力をかけることで押し出し、素材を金型の形状にします。押出成形といわれることもあり、金型の形状と同じ形の製品を作ることができます。
押出加工は様々な材質に対して行うことができる
押出加工の特徴は、活用できる範囲が広いことです。
たとえば、
・金属
・合成樹脂
・合成繊維
・セラミックス
・コンクリート
・食品
などに使われます。
押出加工には大きく分けて3種類ある
押出加工には、加工するときの温度によって、熱間押出、冷間押出、温間押出の3つの種類があります。それぞれ、どのような特徴があるのか説明します。
熱間押出
熱間押出は、材料を熱しながら製品を押し出します。およそ350度~2000度の間で、その材料に適した温度を保ちながら加工します。熱を加えることで、押出加工中に材料が固まるのを防ぎ、製品に欠陥が入らないようにすることが可能です。
材料によって溶ける温度が違うので、加工したい材料によって異なる温度にする必要があります。
冷間押出
冷間押出は、材料を常温で押し出す方法です。「冷間」とありますが、「冷やす」ことではなく、「加熱しない」という意味です。
常温で加工することで、熱による材料の強度が低下したり、膨張したりするのを防ぐことができます。冷間押出は、高温加工が不可能な材料でも対応することが可能です。
温間押出
温間押出は、常温以上の熱を加えて製品を押し出す方法のことです。加工温度は、材料によって異なり、およそ424度~975度であり、加工温度は、冷間押出よりは高く熱間押出よりは低くなります。
熱間押出より温度を下げる理由は、熱による材料の変形を防ぐためです。また冷間押出より温度を上げる理由は、材料が再結晶化しない温度を保つためです。
押出加工における6つの加工装置
押出加工には、6つの加工装置があります。これらはどんな違いがあるのでしょうか。基本である直接押出をベースにして、違いを説明します。
もっとも一般的な押出加工である直接押出
直接押出は、押出加工の一般的な方法です。先ほど説明したところてんのように、前に押し出すことで加工をします。摩擦が生じるので、大きな力が必要になることもあり、。、摩擦を軽減するために潤滑剤を使うことがあります。
圧力媒体を使う静水圧押出
静水圧押出は、機械と機械の間に油などの圧力媒体を置いて行う方法です。圧力媒体を置くことで摩擦を軽減することが可能です。摩擦が少なくなることで、小さな力かつ低温での加工ができるようになりました。とはいえ、圧力媒体が漏れるリスクがあるため、注意が必要です。
押し出す方向とは逆から製品を出す間接押出
直接押出が押し出した前方から製品が出てくるのに対し、間接押出は押し出した方向とは逆から製品が出てくる加工です。
摩擦が小さく、低温かつ小さな力で加工することができます。また、大きな力が不要なので、安定した品質を保てることが魅力です。
OOを液体で満たして押し出す液圧押出
液圧押出は、材料と金型が接する部分以外を液体で満たして加工する方法です。液体は材料全体を加圧するので、摩擦が全くありません。しかし、「液体の温度を安定させる」「液体の高圧を保つ」などの条件であり、安定した製品を作るのが難しいです。
金属黙りを作って押し出すコンフォーム押出
コンフォーム押出は、金属溜まりを作る加工方法です。材料を入れてホイールの溝に押し付けた後、溝を防いだ機械に当たることで金属溜まりを作ります。金属の加工に使われることが多いといえます。柔らかくなった材料が、金型から作り出されるという仕組みです。
中空部分を形成する、ポートホール押出とマンドレル押出
ストローのように中に穴が開いている中空部分は、普通の押出加工では作ることができません。中空部分の形成方法には、
・ポートホール押出:オス型とメス型の金型を組み合わせて空洞を作る
・マンドレル押出:材料に棒の形をしたマンドレルを貫通させる
の2つがあります。
主に形材や管にはポートホール押出が、高力アルミ合金や配管加工にはマンドレル押出が用いられます。
押出加工における4つのメリット
押出加工には、以下のような4つのメリットが挙げられます。それぞれ詳しく解説します。
断面が複雑でも利用できる
押出加工は、断面が複雑でも利用できます。星形やキャラクターの形をしたマカロニなどが売られていますが、繊細な形をした製品でも簡単に加工することができます。
加工面がなめらか
押出加工は、仕上がりがとてもなめらかです。表面がとてもなめらかなので、仕上げに必要な人件費を削減したり作業の効率アップに繋げることができます。
連続して生産できる
押出加工は、連続して製品をつくることが可能です。素材を投入すれば、金型と同じ形を自動で作り出すことができます。そのため、生産コストや人件費を抑えやすくすることが可能です。
素材がもろくても利用できる
押出加工は、素材がもろくても利用できます。素材にかかる応力は「せん断応力」と「圧縮応力」の2つのみです。余計な力は不要ですし、素材によっては押出方法を使い分けることができます。そのため、素材がもろくてもきちんと加工することが可能です。
押出加工では設計どおりの製品が得られない
反対に押出加工のデメリットとして、設計どおりの製品が得られない可能性が挙げられます。例えば、材料の表面に不純物や欠陥がある場合、製品にそのままその跡が表れます。また、表面がひび割れしたり傷ついたりする可能性もあります。これらは「テアリング」と呼ばれており、不良品扱いされて無駄なコストになることも。また、製品の表面に押出し方向と同じ傷がつくことも考えられます。
製品の表面に繊細な状態が求められる場合は、これらの不具合が致命的になる可能性がとても高いです。
テアリングを軽減するためには
・温度や摩擦、押し出す速度、圧力を調整する
・機械やその周辺の点検をきちんとしておく
・金属など加工する材料について熟知しておく
ことを意識しましょう。
押出加工の用途
押出加工が施されている製品には、
・容器用チューブや消火器の容器
・ショックアブソーバーのシリンダー
・車のエンジンピストン
・テレビ、冷蔵庫などの部品の一部
・針金状の金属
・窓枠用のアルミ冊子
などがあります。
押出加工と引抜き加工の違い
押出加工と引抜き加工の違いは、加工を「押し出す」か「引き抜く」か。そして「加熱する」かということです。
押出加工は、強い圧力をかけて金型から材料を押し出して金型の形を作ります。
一方、引抜き加工は、金型の穴から材料を引っ張る方法のことです。また、引抜き加工は加熱しないので、細くて精度が高いきれいな表面の製品を作ることができます。
まとめ
今回の記事では、押出加工における特徴や種類、メリットなどを説明しました。押出加工は私たちには非常に身近な技法であり、多くのものを作るときに使われます。
ホームページに製作事例も載せておりますのでぜひご覧ください。
(▶︎ 対応できる加工)[https://caddi.jp/capabilities]