曲げ加工の基礎知識

曲げ加工の基礎知識

目次
  1. 曲げ加工とは
  2. 曲げ加工・ベンダー(曲げ加工機)の種類
  3. スプリングバックとは
  4. 曲げ加工の設計・図面における限界と注意事項

板金の曲げ加工とは

曲げ加工 (英語:Bending) は、板金加工において最も基本的な加工法の1つです。板金を様々な角度に曲げたり丸めたりし、板金製品や部品を形作るうえで非常に重要な加工です。

曲げ加工の基本的な原理はプレスによります。ベンダーと呼ばれる曲げ加工機を用いて加工します。ベンダーはダイとパンチからなります。ダイとは金型を上下に分類した場合下の金型に当たるもので、パンチの圧力を受ける役割です。パンチとは、ダイに対して圧力を加える部分で、上側の金型に当たります。ダイの上に板金を設置し、そこへ上からパンチで圧力を加えることによって板金を曲げます。

曲げ加工のイメージ絵

パンチの形状によって曲げ部分の形状や曲げrに影響を及ぼします。曲げrとは、曲げ加工の際に曲げた位置にかかる半径Rのことです。この曲げrが小さいということは、曲げ部分の角がより鋭利であるということを意味します。逆に言うと、曲げrが大きいと丸みを帯びた曲げ部分になります。

曲げRのイメージ絵

一言で曲げ加工といっても、曲げ加工は単純な加工法ではありません。曲げ加工を説明する際に多くの専門的な用語も用いる必要があるため、それらの用語も含めて説明していきます。

まず、曲げには種類がいくつかあります。それぞれの曲げ加工にはそれぞれの特徴があり、曲げの形状はもちろんのこと、板金を曲げる原理や機械、仕組みが異なります。

さらに、曲げ加工の品質・精度を高めるためには曲げる際にいくつか注意しなければならない点もあります。品質や制度について、加工時に注意するのはもちろんのこと、図面設計時にも気を付けなければなりません。曲げ角度の限界や、寸法の限界、穴と曲げ部分の距離など、注意すべき点は様々な要素があります。

曲げ加工・ベンダー(曲げ加工機) の種類

曲げ加工には、大きく分けて以下の種類の加工法があります。

V曲げ

V型の金型(パンチ及びダイ)を用いた曲げ加工です。金型がV型であるため曲げrが比較的小さくなることが特徴的です。V曲げは曲げ加工の中でも最も一般的な曲げ加工であると言えます。

V曲げのイメージ絵

エアーベンディング (自由曲げ)

  • パーシャルベンディング
     パーシャルベンディングのイメージ絵

パーシャルとは部分的な、という意味を持っています。鋭角から鈍角まで対応でき、例えば30度の金型であれば30度はもちろん、180度まで曲げることができる範囲となります。

しかし材料や機械に影響を受けやすく、精度を保つことが困難です。そのため、コの曲げ方法を行うには高度な技術を必要とします。

  • ボトミング
    ボトミングのイメージ絵

ボトムとは、底につけるという意味を表し、別名「底突き」や「底押し」とも呼ばれます。後述する「コイニング」よりも小さな加圧力で行うことができ、また高い精度が得られます。

しかしその分、後述するスプリングバックという現象が起きやすく、対処法として余分に曲げこんで行うのが一般的です。

コイニング (矯正曲げ)

かなり正確な曲げ精度を誇る曲げ方法です。小さい曲げ半径を得ることができ、またスプリングバックも起こりにくいです。
コイニングのイメージ絵

しかしパンチの先端を材料にくい込ませて行うため、ボトミングよりも5~8倍の圧力での曲げとなり、板厚に配慮が必要な曲げ方法です。現在ではあまり一般的ではありません。

R曲げ

板金を丸みを帯びる形で曲げる曲げ加工です。R曲げで用いられるベンダーは丸みを帯びたものになります。
Rの曲げイメージ絵

ロール曲げ

板金を曲面状に加工する曲げ加工です。ロール曲げは上記のV曲げ、R曲げとは少し毛色の異なる曲げ加工といえます。ロール曲げは、板金をパイプ形状に加工する際などに用いられる曲げ加工です。

曲げる際に使用する機械は大きく2種類、3本ロール機と4本ロール機がある。
V曲げのイメージ絵

Z曲げ(段曲げ)

その名の通り板金をZ形状(階段状)に曲げる加工法です。Z曲げは金型を用いて1工程で曲げてしまう方法と、V曲げを2回用いることによって曲げる方法とがあります。
Z曲げのイメージ絵

ヘミング曲げ

板金の縁部分を曲げる曲げ加工です。ヘミング曲げは、製品の縁を取ることにより安全性が増すだけでなく、ヘミング曲げされた箇所が板厚2倍分の厚みになることによって強度も増すことができます。
ヘミング曲げのイメージ絵

このように曲げ加工には多くの種類があり、製品の形状や用途に合わせて使い分けることになります。

スプリングバックとは

スプリングバックとは、曲げ角度がベンダーの金型に比べて小さくなってしまう現象のことです。スプリングバックは板金加工製品における曲げの精度・品質を保つ上で非常に重要な用語です。

板金をはじめとする金属には、そもそも弾性力と塑性力という2つの相反する性質があります。

金属の性質 概要
弾性力 金属が力を加えられた後に元に戻ろうとする力
塑性力 金属が力を与えられた後にその形状にとどまろうとする力

弾性力とは、バネなどでも聞きなじみがあるように、金属が外部からの力に対して元の状態に戻ろうと抵抗する性質のことです。スプリングバックは、金属の弾性力によって生じる現象です。
スプリングバックのイメージ絵

曲げ加工によりパンチに圧力を加えられた板金は、パンチが離れた後に弾性力によってわずかに戻ります。そのため、曲げ角度がベンダーの金型よりも大きくなってしまうのです。具体的にいうと、ちょうど90度の直角ベンダーを用いて曲げ加工をしたのにも関わらず、スプリングバックによって実際の曲げ角度が93度になってしまうということです。数字的にはわずかな差のようにも見えます。しかし、スプリングバックによる板金のはね戻りは製品や部品の完成時の寸法に影響を与えます。このわずかな曲げ角度や寸法の差が、板金加工製品においては非常に大きな差になるのです。板金加工製品の精度・品質を保ち向上するためには、曲げ加工におけるスプリングバックは必ず押さえておくべき注意点になります。

スプリングバックの対策 (ここでは90度曲げを例に用いてご紹介します)

  • 2段曲げ

その名の通り2段階に分けて曲げる方法です。1段階目は80~90度の間で曲げ、その後一旦圧を緩めて意図的にスプリングバックを起こします。

そのままパンチを上げず、2段階目として再度加圧することでスプリングバックを抑えます。

  • ストライキング(コーナー抑え込み方式)

ストライキングと呼ばれる出っ張りのついたパンチを用い、その部分を材料にくい込ませることよってスプリングバックを防ぐ方法です。ストライキングの幅はおおよそ板厚分と同じとされています。

  • Vノッチ

加工材にV字のくぼみ(Vノッチ)をあらかじめつけてから曲げ加工を行うことで、曲げ位置と直角度を安定させる方法です。くぼみの深さは板厚の3分の1程度とされています。しかしくぼみを製品曲げ強度が落ちるため、強度が必要な部分には他の方法で対応します。

  • リブ加工

曲げ線上、曲げ根本にリブと呼ばれる三角状の補強部材を付けることで曲げ強度をアップさせる方法です。しかし適切な大きさとタイミングでつけないと曲げ部に影響を与えてしまいます。リブが小さい場合は曲げ部分の強度が落ちてしまい、リブが大きかったり、曲げ後にリブを付ける場合は、曲げ部を変形させます。

曲げ加工の設計・図面における限界と注意事項

曲げ加工は単純な加工法のように見えて、注意すべき点がいくつもあります。1つは、先ほど説明したスプリングバックです。これは加工時に注意すべき点になります。

この他に、加工時ではなく部品や製品を設計する際に注意すべき点もあります。大きく分けて、以下の注意点が挙げられます。

  • 最小曲げ半径

  • 展開時の寸法(展開長)

  • 曲げ部と穴の距離

展開時の寸法(展開長)

図を見てもわかるように、曲げ加工部分には3種類の半径Rが存在しています。

1つは、先ほど述べた最小曲げ半径。最小曲げ半径は最も内側部分の半径であり、曲げ加工時に圧縮されている部分になります。そのため「最小」になるわけです。その一方で、1番外側部分は曲げ加工によって引き延ばされています。曲げ部分外側の寸法は、曲げ加工前の寸法に比べて長くなってしまうのです。よって、部品を並べて組み立てる場合などには曲げ部分外側のふくらみを考慮して設計する必要があります。具体的には、板厚の約15%がふくらみにより増える寸法の目安とされています。

圧縮も引き延ばされもされず、曲げ加工前と曲げ加工後で寸法が変わらない部分を中立面といいます。中立面は基本的に板厚の中心部分になりますが、必ずしもそうではありません。曲げ角度が厳しくなると中立面は板厚中心から内側に寄ってくるなど、中立面の場所は曲げ加工の条件によって異なります。よって、展開長を考える際には曲げ加工部分の中立面について考慮する必要があります。

曲げ部と穴の距離

この距離は次の方程式が最低基準とされています。

曲げ部と穴の距離=板厚×1.5+曲げ半径r

これ以上近くなると穴が変形してしまいます。公差の穴の場合は特に+1.0開けておくと安全です。

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