最も基本的な鉄鋼材料である炭素鋼の定義
鉄鋼材料は、下の図のように大きく炭素鋼・合金鋼・鋳鉄に分類されます。
鋳鉄は炭素量が2.1%以上の鉄鋼材料のことを指します。
それより炭素量の低い鉄鋼材料は炭素鋼と合金鋼になりますが、その違いは含まれている成分です。
純度の高い純鉄は柔らかすぎて実用的ではないため、炭素をはじめとした鉄以外の成分を加えます。
その中でも代表的な炭素(C)・シリコン(Si)・マンガン(Mn)・リン(P)・硫黄(S)のことを総称して5大元素と呼ぶのですが、鉄(Fe)と5大元素だけからなる鉄鋼材料のことを炭素鋼と呼び、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)など他の金属を加えたものを合金鋼と言います。
合金鋼の方が一般的に強度や耐熱性など様々な優れた性質を持ったものが多いですが、その分高価なため、金属材料の中で何を使うかに迷った時に真っ先に候補に上がるのがこの炭素鋼です。
炭素鋼の種類
一口に炭素鋼といっても様々な規格が存在します。以下でそれぞれについてざっくりと概観を説明します。
種類 | SPC材 | SS材 | S-C材 | SK材 |
日本語名 | 冷間圧延鋼板 | 一般構造用圧延鋼材 | 機械構造用炭素鋼鋼材 | 炭素工具鋼鋼材 |
概要 | 板材のみ。 | 最もよく使用される汎用材 | SS材についでよく使われる。 化学成分についての規定があり、より高品質で高価。 | 炭素量が0.6~1.5%と最も多く、硬さと耐摩耗性に優れる。 |
強さ | 炭素量が最も少なく、柔らかい。 | SS〇〇の〇〇が引張り強さを表す。 SS400なら400N/mm^2。 | 炭素量が多いほど強い。 | 強い。 |
加工性 | 良好。 曲げ加工やプレス加工に向き、表面はそのまま使う。 | 非常に加工しやすい。 表面はそのまま使う。 | 加工に適した硬さを持っている。 | 高い。 |
溶接性 | スポット溶接に適している。 | 良好。 | 焼きが入ってしまったり、冷却による割れの恐れがあり、溶接には不向き。 | 可能。 |
焼入れ効果 | 炭素量が少なく、焼きは入らないが、柔らかいことが特徴であり、柔らかいものが必要な箇所に使う。 | 炭素量が0.2%以下と少ないため、焼きは入らない。 | 非常に焼きが入りやすい。 | 入りやすいが、高温になりすぎると焼きが戻ってしまう。 |
規格例 | SPCC SPCD SPCE | SS400 SS490 | S30C S45C | SK140 SK85 |