焼入れに適した万能材料S45Cの特徴・用途やSS400との違いについて
目次
- S45CはSS材についでよく使われる規格
- SS400など他の鉄鋼規格との比較
- 用途・選定のポイント
- S45Cの性質
- キャディ株式会社で取り扱えるS45Cの板厚
これだけは知っておくべきS45Cの基礎知識
- S45Cは炭素量が0.45%の規格で、SS材に次いでよく使われる。
- 化学物質の規定があり、SS400よりも高品質で高価
- 軽さをそこまで必要とせず、強度が必要な時第一に候補に挙がる
S45CはSS材についでよく使われる規格
S45CはSS材についでよく使われているS-C材の一種です。
S-C材は数字の部分が炭素量を表しており、S45Cは炭素量0.45%, S30Cは0.30%という意味で、現在規格はS10CからS58Cの20種類あり、バリエーションも豊富です。
SS材は化学物質の規定がないのに対し、S45CのようなS-C材は化学物質の規定があるので有害なリン(P)や硫黄(S)が少なく高品質ですが、SS材のように引張り強さは規定されておらず、熱処理で変えることができます。
SS400など他の鉄鋼規格との比較
S45Cは価格こそ高いもの焼きも入る非常に強い規格です。
規格 | 強度 | 価格 (¥/kg) | 焼入れ効果 | 溶接性 | 耐食性 |
S45C | 〇 | 300 | 〇 | × | × |
SS400 | ◎ | 115 | × | 〇 | × |
SPCC | △ | 130 | × | △ | × |
SPHC | △ | 100 | △ | 〇 | × |
SECC | △ | 150 | × | × | 〇 |
SGCC | △ | 150 | × | × | 〇 |
ZAM | △ | 160 | × | × | 〇 |
SS400との違い
SS400とは一般構造用圧延鋼板(SS材)の一種であり、S45Cと同じ鉄鋼であるためよく似た材料です。しかし、よく見てみると化学成分や機械的性質に違いがあります。
SSとはSteel Structureの頭文字から取っており、SSの後に続く400という数字は引張り強さの最小保証値(MPa)を示しています。つまり、SS400は400〜510MPaの範囲の引張り強さを保証する材料になります。
SS400は引張り強さが保証されていますが、成分は規定されていません。
また、SS400の炭素量は通常0.15〜0.20%程度であり低炭素鋼と呼ばれ、S45Cのほうが炭素量が多くなっているので強度、硬度ともにSS400より高くなっています。
一方で加工性はSS400の方が良好で、値段も安価です。
以上のことから、強度が必要な部材にはS45Cを用い、それほど強度が必要でない部材にはSS400が用いられます。
用途・選定のポイント
S45CをはじめとしたS-C材ははSS材についで一般的に使用される材料です。
S-C材は上で述べたように炭素量で非常に細かくS10C ~ S58Cまで分けられていますが、実用上わずかな炭素濃度のさは問題にならないため、S45CとS50Cにが非常によく使われています。
SS400に化学成分の規定がないのに対し、S45Cは化学成分の規定があり、有害なPやSも少なく、より高価な分高品質です。
焼きの入らないSS400に対し、S45Cは炭素量が多く、焼入れ効果があります。
通常は生で使うことが多いですが、硬さが必要な場合は焼きを入れて用います。
ただ、厚みや直径が大きくなると中まで焼きが入らなくなるので、その時は合金を使います。
焼きの入る目安は直径φ20mm以下、または板厚14mm程度です。
上述したように溶接には向かないので、溶接が必要な時はSS400を用います。
S45Cの性質
化学的性質
単位 (%)
C | Si | Mn | P | S | Ni | Cr | Cu | Ni + Cr |
0.42 ~ 0.48 | 0.15 ~ 0.35 | 0.60 ~ 0.90 | 0.030以下 | 0.035以下 | 0.20以下 | 0.20以下 | 0.30以下 | 0.35以下 |
物理的性質
比重 | ヤング率 | ポアソン比 | 線膨張係数 |
7.85 | 205 x 10^3 N/mm^2 | 0.25 | 11.7 x 10^-6 /℃ (20℃) |
機械的性質
焼入れの効果が強く、熱処理をすると硬度が高くなります。
降伏点 (N/mm^2) | 引張り強さ (N/mm^2) | 硬度 (HBW) | |
焼ならし材 | 345以上 | 570以上 | 167 ~ 229 |
焼入れ焼戻し材 | 490以上 | 690以上 | 201 ~ 269 |
一般に強さは炭素量が多いほど強く硬くなり、
引張り強さ (kgf/mm^2) = 20 + 100 x 炭素量 (%)
を目安として使うことができます。
加工性や溶接性
加工に適した硬さをもち、表面、内部共に品質の高い素材です。
ただし、炭素量が多く、溶接後冷却した時に割れる危険があるほか、溶接の熱で焼きが入って硬くなるので、溶接に向いているとは言えません。
キャディで取り扱えるS45Cの板厚
板厚 (mm) |
3.0 |
4.5 |
5.0 |
6.0 |
9.0 |
10.0 |
12.0 |
16.0 |
22.0 |
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