真空焼入れとは?特徴や工程について紹介!
真空焼入れと言う熱処理加工があるのをご存知ですか?真空焼入れを施した金属部材は、綺麗な表面に仕上がるメリットがあります。今回は、真空焼入れの特徴や工程について詳しく説明していきます。
目次
- 加熱と冷却を繰り返す熱処理「真空焼入れ」とは
- 「酸化」が仕上がりのカギに!真空焼入れの特徴
- 真空状態で熱を加える高温処理
- 加熱処理のあと冷却を施す真空焼入れの流れ
- 真空状態の焼却炉で熱を加える
- 表面を硬化させる目的の加熱処理
- 酸化を防止し光輝性が期待できるファン冷却
- 部材の種類によって変わる真空焼入れの冷却種類
- 加熱と冷却できれいな仕上がりを可能に!
これだけは知っておきたい真空焼入れのポイント!
- 真空状態で熱を加える熱処理加工のひとつ
- 真空焼入れを行うことできれいな仕上がりに!
- 部材によって冷却方法が異なってくる
加熱と冷却を繰り返す熱処理「真空焼入れ」とは
真空焼入れとは、真空の状態で対象となる製品に熱を加え、窒素ガスを使用してファンや油で冷却を行う焼入れの方法のひとつです。真空焼入れを行なう際、減圧レベルが「低真空」・「中真空」・「高真空」・「超高真空」・「極高真空」に分類されて行きます。ファン冷却にするのかガス冷却にするのかは、真空加熱をした製品の材質により決定されます。
「酸化」が仕上がりのカギに!真空焼入れの特徴
真空焼入れは、酸化せずにおこなう熱処理加工です。
そのため、表面が綺麗に仕上がりやすく、熱処理のトラブルのひとつでもある脱炭も発生しません。
脱炭とは、鋼材に熱を加える工程において、酸素と鋼材に含まれる炭素が結合することで炭素が失われる現象のこといい、硬化不足の原因にもなります。
また、真空焼入れは、加工対象となり製品を急激に冷却することが可能という特徴もあります。
真空状態で熱を加える高温処理
真空焼入れでは、真空された焼入炉の中で真空パイプで真空状態を作り出し、高温の熱を加えて行きます。
そのため、他の焼入炉と比較すると高温処理が可能になります。
また、ステンレス鋼や特殊鋼材などの部材の熱処理にも適しています。
加熱処理のあと冷却を施す真空焼入れの流れ
真空焼入れは、「真空状態」にし、「加熱処理」を行い、「ファン冷却」を施していくという流れで加工されます。
真空焼入れの工程について、それぞれの流れを詳しくみていきましょう。
真空状態の焼却炉で熱を加える
真空焼入れは、まず真空磁気焼鈍を行います。真空磁気焼鈍とは、強磁性の性質を利用して行われた熱処理になります。熱処理は、酸化膜で構成されることが通常ですが、真空磁気焼鈍は真空された焼入炉で真空状態にし、熱を加えます。
表面を硬化させる目的の加熱処理
真空焼入れの加熱処理は、析出によって成分が表面に出てきます。この成分は、冷却による再度結晶化され、最後には表面が硬化されます。このとき、加熱された製品の中は力が残っており、軟化したり歪んだりする要因になります。そのため、550度前後の温度で熱を加える応力除去焼鈍が施されます。応力除去焼鈍は、内部の力を減らす熱処理のことを言います。
酸化を防止し光輝性が期待できるファン冷却
真空焼入れでは、熱を加えた後にファン冷却を施します。真空状態で熱を加えられた製品は、金属の表面が酸化されないため、光輝性にある表面加工になります。この加工の代表的なものが、真空焼鈍や真空固溶化熱処理があります。この、真空焼鈍や真空固溶化熱処理は、酸化する金属部品であっても、脱炭で発生しやすい一酸化炭素や二酸化炭素のガスを逃す効果があり光輝熱処理を可能にします。
部材の種類によって変わる真空焼入れの冷却種類
真空焼入れの冷却の種類は、先にも説明した通り「ファン冷却」・「ガス冷却」があります。これは、真空焼入れを行なう製品の部材によって冷却方法が分類されます。しかし、この他にも真空焼入れには冷却の種類があります。冷却の種類によって、ガスが残りやすくなるケースもあるので、注意が必要です。
加熱と冷却できれいな仕上がりを可能に!
熱処理の種類のひとつである真空焼入れの特徴や方法について、説明してきましたがいかがでしたか?
真空焼入れは、真空状態で加熱と冷却を行うことで、鋼材の表面をきれいに仕上げることが可能になります。また、熱処理を行うときのトラブルのひとつにもなる「脱炭」も発生しにく特徴があります。
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