脱脂の基礎知識
目次
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脱脂とは
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脱脂の方法
脱脂とは
加工が施された後の金属の表面に油もさびもないというのは極めてまれな状態であり、錆止めのためや機械油、切削油、潤滑油などの理由で必ずと言っていいほど油が付着しています。
脱脂とはその名の通り、油を取り除く処理のことを言います。
製品として販売するときに油を取り除くために脱脂洗浄が行われるほかに、塗装時に表面が油などでおおわれていると塗装は難しいため、塗装の前にはこの脱脂処理が不可欠になります。
脱脂の方法
脱脂の方法には物理的な方法と化学的な方法の二つに分けられます。
物理的な方法とはふき取りや空焼きなどの方法で脱脂処理をします。
化学的な方法とは溶剤洗浄やアルカリ洗浄、電解洗浄などの方法があり、現在ではこの化学的な脱脂洗浄が中心になっています。
もっとも簡単に脱脂するには溶剤洗浄が使用されます。
多くの溶剤は油を分解する作用を持っていますが、引火性がないことや揮発性であること、有害でないこと、腐食しないこと、安価なことなどいくつかの条件で限定され、この条件に当てはまる炭化水素の塩素化合物であるトリクレンが代表的な溶剤になります。
トリクレンを用いた洗浄方法としては布に溶剤を浸して拭い取るものから、大規模な装置を持つトリクレン蒸気脱脂などがあります。
溶剤洗浄とともに広く使用されている洗浄方法としてはアルカリ洗浄があります。
ケイ酸ナトリウムなどの弱アルカリを単独または界面活性剤を添加して短時間で脱脂処理を施すことが可能な方法です。