NC旋盤について知りたい!メリットや基礎知識を理解しよう!
目次
- 旋盤は丸く加工する際に最適
- NC旋盤は自動で大量生産が可能
- 作業を自動化できるNC旋盤の特徴
- NC旋盤を構成する要素とは
- NC旋盤と汎用旋盤との比較
- NC旋盤の導入することで発生するメリット
- NC旋盤の導入することで発生するデメリット
- NC旋盤の製作事例
これだけは知っておきたいNC旋盤のポイント!
- NC旋盤は作業者の技量に関係なく高精密な加工ができる
- 生産性・安全性が向上されるだけでなくコスト削減にも繋がる
- 加工のためにプログラミングが必須となり専門の作業員が必要
旋盤は丸く加工する際に最適
旋盤とは、部品など様々な製作物を作る際に使用する機械です。チャックと呼ばれる回転する土台に加工したい素材を固定し、バイトという工具を当て、削り出しながら加工します。
旋盤は旋削加工という素材を回転させ削るため、適している母材は丸形状のものです。
主軸台、心押し台、往復台、送り装置、ベッドから構成されるのが一般的な旋盤の構造になっています。
NC旋盤は自動で大量生産が可能
一般的には汎用旋盤とNC旋盤とで分類されます。
そこで今回はNC旋盤についてお話ししていきますが、NC旋盤は、NC(numerical control:数値制御)によって予めプログラムにて入力された順序に自動的に加工を行う機械です。
旋盤での作業は精密部品を作成する場合が多いため、0.1mm程の誤差があるだけでも品質は格段に下がります。汎用旋盤では設置から加工まで全て手作業になるので1つの部品に対しての工数がかかり、同一製品の大量生産にはあまりにも向いていません。
しかしNC旋盤では加工を機械的に行うので寸分の狂いもなく高品質を担保することが可能です。また、部品1つに対する作業員1人あたりの工数は格段に減少し、作業員1人が複数のNC旋盤を扱うことが可能になりコスト削減、生産性の向上に繋がります。
作業を自動化できるNC旋盤の特徴
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加工を自動で行うため、機械に付きっきりにならなくてよい
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同一製品の大量生産に適している
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1人の作業員に対して複数のNC旋盤を担当することができる
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自動で行うため、作業中に手作業が入る余地がないので事故などのリスクが低い
NC旋盤を構成する要素とは
- 主軸台
チャックと呼ばれる箇所に加工したい工作物を設置する台
この主軸台に変速機や回転をつかさどっている旋削回転を与える軸が入っています。
- 心押台
長い工作物が湾曲したりしないようにサポートをする働きをする台
加工物の中心を見つけるための心だしという工程でも使用することができます。
- 刃物台
外径、内径工具等の様々な工具を取り付けることができる台、加工工程によって適切な工具が選ばれるので何本も設置が可能になっている。
一般的に下記の3つのタイプに分かれています。
フラット型 | 汎用旋盤と同様の形状で平面構造になっています。 工具の格納数が少ないので大量に工具が必要な場合は都度変更する必要がある。 |
くし刃型 | T字の溝がついている水平な台に複数の工具を横並びに設置することができるタイプの刃物台。 工具の切り替えが容易なので作業時間の短縮にも使用することができます。しかし、工具が並んでいるため工具が干渉しないように設置する必要があります。 |
タレット型 | 円筒状の台座に刃物を設置するタイプの刃物台です。 円筒に満遍なく工具を設置することができますが、円筒の芯がズレてしまうと加工精度が落ちる危険性もあります。 |
- ベッド
大量生産を行うため、加工する際に大量の切りくずが出てきます。
その切りくずをためておく場所のことをベッドといいます。
- チャック
加工する素材を固定する装置で主軸に設置されており、爪でワークを挟みこむタイプのチャックが一般的に使用されています。
それ以外のチャックも種類があるので下記の表で紹介します。
スクロールチャック | 1つのハンドル操作で3つの爪が開閉する仕組みのチャックで、円筒状の加工物に対して容易に取り付けることができます。 |
インデペンデントチャック | それぞれの爪が独立して動作するタイプのチャックです。円筒状以外の加工物でもチャックの中心に取り付けることができるようになります。 |
コレットチャック | コレットという筒状の装置で挟みこむタイプのチャックです。 爪で挟むチャックだと設置面積が小さいので固定に大して強い力が必要で、成果物に傷がついてしまう恐れがありますが、コレットチャックだと設置面積が大きいため、固定に対する力が少なく成果物に対して傷を付けることが少なくなります。 |
NC旋盤と汎用旋盤との比較
今回はNC旋盤についてお話ししていますが、同様の機能を持った汎用旋盤という機械があります。
それぞれの違いとしてNC旋盤はプログラムを組み込み自動で行いますが、汎用旋盤の場合は全ての工程を手動で行います。
NC旋盤と汎用旋盤の各工程での比較を下記にまとめました。
比較点 | NC旋盤 | 汎用旋盤 |
作業員のスキル | 不要 (プログラム開発では専門的な知識が必要になる) | 必要 |
プログラム開発 | 必要 | 不要 |
大量製作 | 自動製作なので適している | 人力なので不向き |
追加工 | 苦手 | 容易に可能 |
加工時間 | 比較的長時間 | 短時間 |
加工精度 | 自動なので安定して高精度 | 作業員のスキル次第 |
NC旋盤の導入することで発生するメリット
- 高品質を維持することが可能
NC旋盤は名前の通りNC制御で加工するので手作業の箇所が格段に少ないので手動ならではのミスや品質が落ちたりすることはありません。
そして作業者のスキルによって品質が変動することなく、初心者でも手順通りに行うことで、高品質を維持することが可能になります。
- 大量製造に適している
NC制御で加工物のセットから加工まで自動で行うことが可能なので作業者1人に対しての成果物は一般の旋盤に比べて倍以上になります。
そのため、NC旋盤はプログラム開発ができれば高品質で同一の成果物を製作することに最適な機械になります。
- 精度の高い加工が可能
汎用旋盤でも精度の高い加工を人力で行うことが可能ですが、担当者のスキルに依存してしまいます。しかしNC旋盤では0.1mm以下の単位で設定することが可能で微細な動きもプログラムを組み込むことで実現可能で、担当者のスキルに依存せずに高精度の加工物を製作することが可能です。
- 生産性が向上する。
作業を自動化することができるので、機械で自動的に行うので最短時間で製作を行うことができます。
- 安全性が高い
汎用旋盤では加工する際に作業者が間近で作業を行いますが、その際に切りくずや油が飛散し、事故の原因になります。
一般的なNC旋盤は加工箇所に安全扉がついているので飛散防止になり、作業者が近くで作業することが少ないので事故を未然に防ぐことができます。
NC旋盤の導入することで発生するデメリット
- 専門性の高い作業者が必要
NC制御ではプログラム開発を行わない限り動作させることができません。
そのためにプログラム開発ができる作業者、そして旋盤に対して専門性が高い人員が必要になります。
- 確認工程が多いので動かし始めに時間がかかる
汎用旋盤では担当者が実際に動作を確認しながら加工を行うことができますが、NC旋盤ではプログラムで動作をさせていますのでデバッグ作業が必要になります。
実際に動作を行ったり、そこで想定通りに行かない場合は再開発を行ったりと準備作業が多いです。
- 加工時間が長い
手動で加工をする汎用旋盤と比べて同一部品でも加工時間が長いです。
そのため、生産性を向上させるためには、1人の作業員に対して複数の機械を稼働させるといった工夫が必要になります。
NC旋盤の製作事例
今までNC旋盤の紹介をしてきましたが、
こちらのページでは実際にNC旋盤の製作事例を見ることができますので、ぜひご確認ください!