ステンレス・SUSの塗装の基礎知識
目次
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ステンレスの塗装とは
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ステンレス製品への塗装は下地処理(前処理)で差がつく!
ステンレスの塗装とは
ステンレスは一般的に錆びにくい鉄鋼材料として頻繁に用いられている金属です。ただ、製品や部品が使用される場所によっては、ステンレス製品の外観をステンレス素材の色以外にしたいことがあるかと思います。そこで用いられるのが塗装加工です。塗装は主な目的を製品表面の着色とし、それ以外にも塗膜による素材表面の保護や防錆などの役割を果たします。塗装は用いられる塗料の種類が非常に多く、その分類の仕方もいくつかあり大変混同しやすいです。改めて塗料・塗装を分類し、ステンレス製品に適する塗装や、ステンレス製品に塗装する際の注意点などを明らかにしていきたいと思います。
ステンレス製品への塗装は下地処理(前処理)で差がつく!
ステンレス製品への塗装の特徴として第一に挙げられるのが、ステンレス表面と塗料との密着度の悪さです。ステンレスは金属の性質上塗膜の密着が悪く、塗装後に塗膜が剥がれてしますというような欠陥が生じやすいです。
塗装との相性があまりよくないステンレスですが、ステンレス表面に汚れがついていたりすると、塗料が綺麗に密着しません。しかし塗装の下地処理を適切に行えば問題なく塗装することが可能です。
前処理としては、まず脱脂や酸洗いによって油分などの表面の汚れを除去します。そのあと、以下機械的方法と化学的方法の2種類の処理法をSUS304やSUS430などのステンレスの種類や製品に合わせて施します。
・機械的前処理
機械的前処理とは、ステンレス表面を研磨することによって細かな凹凸形状を成形する処理法です。主にサンドブラストやワイヤーブラシ、ペーパー溶剤拭や蒸気脱脂などがあります。サンドブラストなどによってステンレス表面を研磨し、凹凸形状を成形することでステンレスの表面積を増大させています。これによって、塗料がステンレス表面により密着するようになります。
・化学的前処理
それに対し、化学的前処理とは綺麗にしたステンレス表面を皮膜で覆い、塗装を剥がれにくくさせたり、万が一塗装に傷がつき剥がれてしまった場合でも錆が広がらないようにしたりする処理法です。ステンレス表面を被膜で覆うことによって塗料の密着度を高めています。リン酸塩処理などがこの処理法に当たります。
これらの前処理は、塗膜が密着しづらいステンレス製品に塗装をする際に非常に大切な工程になります。
ステンレス製品は特に塗装後に塗膜が剥がれるという欠陥が多いような金属ですが、これら前処理を適切に行うことによって高品質の塗装を実現しています。