ステンレスのメッキについての基礎知識
目次
- ステンレス・SUSのメッキの特徴
- ステンレス(SUS)のメッキ(メッキ)加工処理の特徴
- 基本の前処理
ステンレス・SUSのメッキ
ステンレスという金属は強度・耐食性がともに高く、錆びにくい素材として知られています。そのため防錆効果が期待されるメッキ加工処理はステンレスには施さないというイメージを持つ人が多いと思われます。
また、ステンレスは基本的にメッキの密着率が低いという特徴があります。そのため、「ステンレスにメッキ加工処理をすることはできるのか?」「ステンレスは錆びにくいしメッキする必要がないのでは?」という疑問を抱く人も多いと思います。
弊社ではステンレス素材の板金製品にも問題なくメッキ加工処理を施すことが可能です。ステンレスは、SUS304やSUS430など多くの規格が存在しますが、それら多種類の素材に幅広く対応しています。
ステンレス製品にはどのような意図があってメッキ加工処理をすることが多いのでしょうか。
そもそも、メッキ加工処理には主に以下に挙げられる特徴があります。
・製品に必要な機能を付与することができる
電気伝導性など、製品の金属素材では達成することのできない機能を付与することができる。
・きれいな金属外観を手に入れることができる
メッキにより比較的安価に金などの高級感のある金属光沢を手に入れることができる
・素材を保護することができる
製品表面がメッキ皮膜に覆われることによって強度や耐摩耗性が向上し、メッキ皮膜の特性によっては耐食性が大きく向上し、製品の錆を防ぐことができる。
・素材を選ばず加工できる
銅や鉄、ステンレスやアルミニウムなどの金属表面はもちろんのこと、プラスチック製品にもメッキ加工処理を施すことができます。
・加工の幅が広い
メッキ加工に用いられる金属の種類が多く、非常に幅が広い表面加工です。
ステンレスにメッキ加工をする用途の例としては、電気伝導性を高めるために電気伝導性の高い金属のメッキをしたり、耐摩耗性を向上させるために硬質クロムメッキ処理をすることなどが多いです。
また、ステンレスはメッキの密着性が比較的悪い金属素材になります。そのため、ステンレスにメッキ加工処理をする際は、下地メッキとしてニッケルメッキを薄く加工処理することが多いです。ニッケルメッキ皮膜はメッキの中でも金属との密着性が良いため下地メッキに用いられることが多いのですが、ステンレスのメッキ加工処理の際は特によく用いられるメッキになります。
ステンレス(SUS)のメッキ(メッキ)加工処理の特徴
ステンレスは、一般的にメッキ皮膜の密着が悪くメッキに向いていないといわれる金属です。メッキ皮膜の充分な密着性を確保するために、メッキ加工処理前の前処理が重要になります。
基本の前処理
基本の前処理としては以下の流れが一般的です。
「脱脂→電解脱脂→酸処理→電解脱脂→活性→ストライクニッケルメッキ→本メッキ」
ステンレスの特徴として一番に挙げられる耐食性ですが、その耐食性の源とも言える表面にできる不動態被膜が、メッキ・塗装の場合はマイナスに働き、不動態被膜によってメッキ・塗装の付着性が悪くなります。そのため、ステンレスの場合は先に不動態被膜を落としてからメッキ・塗装作業に移ります。また不動態被膜を落とした後も、メッキの密着性を上げるために、薄いニッケルメッキを下地メッキとして使用します。
酸洗や電解脱脂など、ステンレス表面に適切な処理を施すことによってステンレスのメッキの品質を高く保ち、逆に、ステンレスのメッキ加工不良のほとんどがこの前処理が適切に施されていないことが原因であると言えます。
ステンレスに電気伝導性を上げるためのメッキ処理をする場合は下地を塗らずそのまま本メッキをすることもありますが、その場合は密着性などについて要相談となります。
そしてステンレスの中でもSUS430などのフェルマイト系は酸に侵食されやすく、またスマット(酸に溶解しづらく、残ってしまった成分が微粉末として表面に付着してしまうこと)が起きやすいため、難メッキ材と呼ばれています。