アルミのメッキの基礎知識
目次
- アルミのメッキは難しい!
- アルミメッキに適しているメッキの方法とは
- アルミのメッキ処理は「酸化被膜除去」がカギ!
これだけは知っておくべきアルミのメッキのポイント!
・アルミのメッキはできるが、困難
・きちんと酸化皮膜処理を行う必要がある
アルミのメッキは難しい!
アルミは、アルミニウムを主成分とした合金です。特徴としては、加工性・耐食性・熱伝導性・防食性に優れており、なおかつ強いという特徴があります。特に防食性は、ステンレスによく言われる「錆びに対する強さ」を表す特徴ですが、アルミも酸素と反応して酸化被膜を形成するため、錆びにくく、また表面が硬いという特徴をもたらします。
しかしこの「酸素と反応して酸化被膜を形成する」という特徴が不利に働くこともあります。それが「アルミのメッキ処理」です。
この酸化被膜はメッキをかける際は除去する必要があります。しかし酸素のある環境下では皮膜形成が容易にされてしまうので、除去してもすぐに表面を覆ってしまい、メッキの析出の邪魔をし、密着性に悪影響を与えてしまいます。
メッキ処理はできますが、同時に困難と言えるでしょう。
アルミメッキに適しているメッキの方法とは
アルミのメッキは難しいとお話ししました。そのためアルミに直にメッキをする場合に適したメッキ方法があります。以下ではその種類をご紹介します。
メッキの種類 | 特徴 | 用途 |
硬質クロムメッキ | 厚く硬く、耐摩耗性が高い | 製品の装飾 その他メッキの下地 はんだ付けする電子部品 |
ニッケルメッキ | 光沢の有無が選択加工 はんだ付け性が高い | エンジン部品・放熱パネル |
無電解ニッケルメッキ | 耐熱性が高い 形状に関わらず均一 | 鉄製品の腐食対策 |
アルミのメッキ処理は「酸化被膜除去」がカギ!
アルミのメッキ処理加工で一番重要な工程は「きちんと酸化被膜を除去すること」です。以下ではこの処理も含め、どのようにメッキまで行うのか、ご紹介致します。
まずアルミのメッキ工程は
「研磨」→「脱脂工程」→「水洗」→「エッチング」→「水洗」→「活性化(スマット除去工程)」→「水洗」→「ジンケート工程」→「水洗」→「下地メッキ(上記のメッキ)」→「水洗」→「目的のメッキ」
という流れで行われます。
研磨
機械加工が施された後の工作物は、表面に凹凸があります。また鋳物などの場合は表面層に「湯じわ」と呼ばれるしわ状のくぼみや、気泡などがあり、これらがメッキに大きな影響を与えてしまうので、メッキを行う前には必ず研磨で表面を整える作業が入ります。
脱脂工程
アルミは酸とアルカリどちらにも溶解してしまう性質を持っています。そのため他の金属では強アルカリの脱脂剤を使いますが、アルミに対しては弱アルカリの脱脂剤を使用します。
弱アルカリとはいえ、一定ラインの脱脂効果は得ることができるため、問題はありません。
エッチング工程
アルミに対し、専用のエッチング剤を使用することで酸化被膜など、表面の不具合を除去し、密着性を高めます。また、このエッチングには脱脂しきれなかった部分の予備的な脱脂として働く効果もあります。
しかしデメリットとして、光沢感がなくなってしまったり、溶解して寸法精度が悪くなうので、製品によってmエッチングの時間や温度には特に注意を払う必要があります。
活性化(スマット除去工程)
アルミの中に含まれる、銅やケイ素などの不純物(スマットと呼ばれる)を除去する工程です。前のエッチング工程ではこれらの不純物除去はできないため、この工程無しでは外観不良などを起こします。
ジンケート工程
亜鉛置換とも呼ばれ、これもアルミニウムの酸化被膜を最終除去するための工程です。これまでの工程の中でも大部分は除去されていますが、水洗中に新たに形成された酸化被膜などで表面がおおわれてしまいます。
このため、アルミをアルカリ水溶液に溶解させ、溶けた際に出る電子を利用してアルミの上に亜鉛を析出させます。
これにより、アルミ自体が酸素と触れることなく、酸化被膜が形成されない状態になります。