銅の溶接の基礎知識
目次
- 銅は溶接しやすいのか
- 銅を溶接時の具体的な問題
- 銅溶接時に起こる問題を回避したい
これだけは知っておくべき銅の溶接のポイント!
・銅の溶接は困難!
・溶接時には「熱」に注意!
銅は溶接しやすいのか
「銅は溶接しやすい材質なのか?」
答えはNoです。それは銅の材質の特徴に原因があります。
銅は曲げ加工などの圧力に対しては材料劣化が起こりにくい一方、熱伝導性が高いため膨張したり収縮しやすい、といった熱による変形が起こります。また光を反射しやすいため、レーザー光を用いた溶接を行うには高出力で行う必要があります。
銅を溶接時の具体的な問題
実際に起こる銅の溶接時の問題は以下の通りです。
熱による影響
熱による影響としてまず先ほども述べた加熱部分の膨張、冷却時の収縮、歪曲です。これにより、溶接時に膨張下部分が冷却を経て割れを発生させる場合もあります。
そしてもう一つ熱による影響が出やすいのが「純銅」と呼ばれる約99.98%の純度の銅です。この銅はその他のものに比べ熱伝導率が著しく高く、溶接熱が急速に母材側に拡散してしまうので溶接部の馴染み、融合に不具合が生じやすくなります。
銅と銅以外の金属との溶接
銅と鉄の溶接
銅と鉄はかなり相性の悪い金属同士で、ほとんど溶けても混じりあうことがありません。また鉄の中の炭素鋼の結晶粒界に銅が侵入することにより、溶接部分の遠征を低下させてしまいます。
銅とアルミニウム合金(アルミニウム青銅など)
この2つの材質の溶接では酸化物が発生しやすく、それが原因で融合不良が発生する可能性があります。
銅と亜鉛合金の溶接
この2つの溶接を行う際、亜鉛が蒸発します。これが酸化亜鉛となり、溶接部分を覆ってしまうため、溶接作業に困難が生じます。また溶接部内に含まれる亜鉛の含有量は減っていってしまうため、結果として組織が不均等な割合になってしまい、もろくなってしまいます。
銅溶接時に起こる問題を回避したい
まず純銅の熱による影響を最小限にするために行われるのが予熱です。これにより急激な加熱が避けられ、熱膨張や緩やかになり、割れや歪曲を抑えることができます。
また、溶接時の工作物の抑え方や、溶接角度を考えて行うことによりさらに熱影響を抑えることができます。
銅の溶接方法
以下では実際に銅に用いられる溶接法をご紹介します。
スポット溶接
まずスポット溶接とは溶接部分にピンポイントで熱を加えることで行われる溶接方法です。これは純銅の溶接は難しいですが、銅合金 (リン青銅など) に対しては有効です。
TIG溶接
TIG(ティグ)溶接はシールドガスと呼ばれるガスで溶接部分を覆うことで、酸素のない状態で溶接を行うことができます。これにより金属の酸化がされにくくなり、溶接への影響が少なくなります。
ろう付け
ろう付けの代表例ははんだ付けです。この溶接法は工作物同士の間にろう材と呼ばれる真鍮などを溶かしたものを流し込み、それを冷却させることで接合します。これは使われるろう材が銅との相性が良いものであるため、銅溶接の最終手段として行われる方法です。