樹脂の加工の基礎知識
樹脂は金属と違い、材質が柔らかく、熱に弱いのが特徴です。そのため加工方法も金属とは違い、熱の発生しやすい加工方法はなるべく使用しない、もしくは工夫して加工する
必要があります。ここでは樹脂に対し主にどのような加工方法が用いられるのかご紹介していきます。
目次
-
加工には大きく3種類ある!
-
耐熱性の低い樹脂の板金加工とは
-
寸法精度を出すのが難しい樹脂の切削加工金属・切削加工
-
樹脂に表面処理加工は必要なのか
これだけは知っておきたい樹脂の加工のポイント
・樹脂は熱に弱く、膨張しやすい!
・樹脂の加工には工夫が必要
加工には大きく3種類ある!
金属の加工には大きく、「板金加工」「切削加工金属・切削加工」「表面処理加工」の3種類があります。
種類 | 概要 |
板金加工 | 薄板を人や機械を使って、変形する加工 |
切削加工金属・切削加工 | 金属の塊を削ることで目的の形状に製作する加工 |
表面処理加工 | 塗装や研磨など、工作物の表面を目的の状態をに変える加工 |
耐熱性の低い樹脂の板金加工とは
金属ではないため、耐食性や加工性は他の母材金属に比べ優れています。一方で耐熱性や強度は低く、また電気も通しません。そのためレーザー加工や曲げ加工など板金加工で汎用的に用いられる加工法は、樹脂にではあまり用いられ使われません。
成形加工
樹脂は曲げや、レーザーカットなどを用いて目的の形に加工せず、多くは成形加工を用います。成形加工とは、母材を溶かし金型に流して、冷やし固めたり、押し出すことで目的の形に加工する方法です。これは樹脂の、熱に弱いという特徴の影響を受けることなく成形できる加工法のため、樹脂成形には欠かせない加工法です。
▶ 樹脂の成形加工について詳しくみる
溶着
溶着のほぼ全てが樹脂を用いた溶着であるため、樹脂溶着とほぼ同義です。溶着とは母材同士を接着する加工法の一種で、その種類は大きく「超音波溶着」「レーザー溶着」「熱溶着」「接合剤」の4種類に分けられます。左の2種類は、超音波や熱を用いて樹脂を溶融することで接合する方法です。一方熱溶着は熱した鉄板を、接合剤は溶着剤を用いることで接合する方法です。
▶ 樹脂の溶着について詳しくみる
寸法精度を出すのが難しい樹脂の切削加工金属・切削加工
樹脂は柔らかい材質で、耐熱性が低く、熱膨張しやすいという特徴を持っています。そのため、機械で削って加工する場合寸法精度を出すのが難しく、また切り粉も溶けてこびりつく場合があるため、加工には工夫が必要です。
旋盤加工
樹脂の旋盤加工はとして使用されることが多いのが、歯車やギアを製作する際によくなされますです。これらは樹脂の耐熱性が向上したり、軽量な部品が必要となってきたことを背景として多く製造されるようになりました。しかしこれらの歯車は正確な寸法が必要な部品であるため、製造には高い技術力が必要です。
▶ 樹脂の旋盤加工について詳しくみる
フライス加工
樹脂のフライス加工も旋盤加工同様、熱膨張の影響を受けます。また熱膨張だけではなく、加工後、冷えて行く際に縮んでしまうため、寸法精度を出すのは旋盤加工に比べ、より難しいと言われています。一方、用途としては医療用の部品など、寸法精度の厳しい工作物が多いため、フライス加工後、研削加工や、研磨などで対応します。
▶ 樹脂のフライス加工について詳しくみる
樹脂に表面処理加工は必要なのか
樹脂は金属と違い、耐食性に優れていたり、一般的に樹脂を削って加工することが少ない母材であるため、金属に比べると表面処理を施す頻度は若干低いと考えられます。しかし、表面処理を全くしないというわけではなく、例えば装飾のためにように透明度を出したり、PL処理と呼ばれる射出成形時に生じる不要な出っ張りを無くすために研磨をすることなどがあります。このように樹脂の表面処理加工の必要性が全くないということはありません。
塗装
一般的に金属に用いられる塗装方法は「焼付塗装」と呼ばれる、100℃以上の高温で行われますが、樹脂の場合は耐熱性が低いことから、樹脂塗装と呼ばれる80℃程の温度で行うことのできる塗装を用います。
▶ 樹脂の塗装について詳しくみる
メッキ
メッキというと金属に対し行われる表面処理のように考えられますが、実は樹脂に対してもメッキが可能です。しかし樹脂は電気を通さないため、メッキの方法は電解メッキのような電気を用いたメッキを施すことができません。また、無電解メッキのように物質のイオン化傾向を利用し、触媒を用いて行うメッキをかけることもできません。そのため、樹脂の表面に凹凸をつけることで、メッキの引っかかりを作り、メッキ加工がなされます。
▶ 樹脂のメッキについて詳しくみる
まとめ
今回は樹脂の加工についてご紹介しました。金属とは違った樹脂特有の加工方法があります。そのため樹脂加工は樹脂専門で扱われている加工会社に依頼するのが一般的です。
弊社では樹脂の加工についてもお取り扱いがございます。