樹脂のメッキの基礎知識
目次
- 樹脂にメッキは可能?
- 樹脂へのメッキはどうやるのか
樹脂にメッキは可能?
「メッキ」と聞くと金属に対して行う表面処理のように思われます。しかし実際は樹脂に対してもメッキ処理が可能です。この樹脂へのメッキが行われるようになったのはABS樹脂の登場によって実現したものでした。まずABS樹脂とはアクリルニトリル(A)、ブタジエン(B)、(ポリ)スチレン(S)の3つの物質を結合させて作られた樹脂のことを指します。このABS樹脂の特徴は耐熱性、機械強度、耐油性、耐衝撃性、光沢性、加工性という、3つの物質のそれぞれの特徴を合わせ持っています。
成形加工はもちろん、表面加工も容易なため、メッキはもちろん、塗装、印刷、溶接なども行うことができます。
樹脂へのメッキはどうやるのか
しかしそもそも樹脂にメッキを施すには様々な問題があります。まず一つは「電気を通さないこと」です。メッキの中でも「電解メッキ」の場合、電気を通す性質がなければできません。二つ目に「触媒がないこと」です。樹脂は金属とは性質が異なるため、触媒として使えるものがありません。そのことから電気を通さなくてもメッキをかけることができる無電解メッキも用いることができないのです。
では一体どうやって行うのでしょうか。
樹脂へのメッキ方法とは
樹脂へのメッキで行われるのが「エッチング」という技術を用いた方法です。エッチングというのは高温の硫酸溶液にABS樹脂を浸漬させることによって、表面にあるB、ブタジエンを酸化分解します。これが表面に凹凸をもたらし、メッキの引っかかりを作ることで樹脂のメッキが施されるのです。メッキに使用される金属としては、主にパラジウムが用いられます。
これはABS樹脂の例ですが、もしポリエチレンなsのエッチングが不可能な樹脂の場合は、プラズマ処理という方法で物理的に表面に凹凸をもたらすことでメッキさせる方法を用いて行うこともできます。